- 「鉄筋コンクリート造の建物でも雨漏りするケースはあるんだろうか…」
- 「雨漏りが発生した場合の修理や応急処置の仕方を知っておきたいなぁ…」
鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、木造の建物よりはるかに強度が高いため、災害にも強く耐用年数も長く設定されています。
しかし雨漏りに関しては、鉄筋コンクリート造の建物であっても、経年と共に発生リスクは高まります。
特に屋上や外壁など、外部にさらされている箇所は劣化の進行が早く、ひび割れやコーキング剥がれにより、雨漏りの発生をまねくことがよくあります。
したがって、雨漏りを始めとする建物に関するトラブルへの対処方法は、しっかりと把握しておく必要があります。
そこで本記事では鉄筋コンクリート造の建物から雨漏りする原因、修理や応急処置の方法について詳しく解説します。
鉄筋コンクリート造の建物で雨漏りが発生する原因
初めに鉄筋コンクリート造の建物で雨漏りが発生する原因について解説します。
原因1.コンクリートのひび割れ
コンクリートは雨風や紫外線の影響を受けると、収縮や膨張を繰り返します。
やがてその変化に耐えられなくなると、コンクリートにひび割れができてしまいます。
ひび割れはもっとも雨漏りを招きやすい不具合であり、特に屋上や外壁、ベランダなど外部にさらされている箇所が影響を受けやすいです。
鉄筋コンクリート造の建物においては、三角屋根ではなく陸屋根(勾配のないフラット屋っ根)を用いるため、後に説明する防水層のひび割れが発生する可能性もあります。
小さなひび割れは目視では見つかりにくいことも厄介な特徴です。
原因2.コーキング部分の剥がれ
窓サッシや笠木(屋上に設けられる手摺など)の繋ぎ目部分には、コーキングが施されています。
コーキングは劣化すると、隙間ができたり剥がれたりして、雨水の侵入経路となります。
木造でも鉄筋コンクリート造の建物でも、同様に劣化しやすく、雨漏りを招きやすい箇所なので注意が必要です。
一軒家やマンションにおいては、10年に1度くらいのスパンで、建物全体のコーキング打ち直しを行うことが推奨されています。
原因3.屋上の防水層の劣化
屋上や陸屋根は床面が平らで、雨水が溜まりやすいため、防水層を施して雨漏り対策をしています。
しかし防水層も経年劣化により、浮き上がったり、ひび割れができたり、様々な劣化現象が出てきます。
防水層が劣化すると、雨水が侵入しやすくなり、雨漏りを引き起こす原因となります。
鉄筋コンクリート造の建物における雨漏り修理方法
次に鉄筋コンクリート造の建物で、雨漏りが発生した場合の修理方法を解説します。
修理方法1.補修材の注入
ひび割れに対しては、割れている箇所に補修材を注入することで改善が可能です。
コンクリートの補修材には、モルタル系、セメント系、接着剤系などいくつか種類がありますので、適切なものを選ばなければなりません。
なお、作業は材料があればDIYで行うことも可能ですが、屋上や外壁を補修する場合、危険を伴う作業になりますので、専門業者へ依頼するのが基本です。
また使用する補修材はホームセンターなどで購入することも可能ですが、適切なものを使用しなければ完全に止水できず、雨漏りの再発を招く可能性があるので、慎重に検討する必要があります。
修理方法2.コーキングの打ち直し
窓サッシや外壁、屋上の笠木など、コーキングが劣化した場合においては、コーキングの打ち直しを行うことで補修が可能です。
コーキングは年数が経てば経つほど劣化しますので、実際に雨漏りした箇所を修理しても、他の箇所から再度雨漏りが発生するケースも多く見受けられます。
費用はかかりますが、コーキング劣化による雨漏りを見つけた場合は、他の場所も併せて確認し、全体的な打ち直しを実施するのがおすすめです。
なお、コーキングの打ち直しもDIYで実施することが可能です。
しかし、こちらも危険を伴う箇所については、事故や怪我の危険性があります。
それなりに技術力も必要ですので、経験のない方は無理せず専門業者へ依頼するようにしましょう。
修理方法3.防水工事の実施
防水層の劣化に関しては、該当部分に新たな防水シートを設置するなど、専門的な技術を要する工事が必要になります。
防水工事は全体を実施すれば、最長で10年間の保証がつきますので、ある程度築年数の経った建物であれば、部分的な補修よりも全体的に改修することをおすすめします。
また防水工事にも様々な施工方法があります。
以下の3つが主な防水工事の施工方法です。
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
それぞれにメリット・デメリットがありますので、建物の環境や予算を確認したうえで、最適な施工方法を選ぶことが重要です。
雨漏りの応急処置と再発防止策
最後に雨漏りが発生してしまった場合に自分でできる応急処置の方法と、再発防止策について解説をします。
自分でできる応急処置とは
雨漏りが発生した場合は、できるだけ早めに専門業者へ連絡することをおすすめします。
雨漏りを放置すると被害が拡大してしまい、1箇所だけでは収まらず、複数の箇所から漏れてくる可能性もあります。
また専門業者へ連絡しても、すぐに駆けつけてくれるとは限らず、現地を確認した後、修理に取り掛かるまでの間に再度雨漏りが発生することも考えられます。
そのため雨漏りの被害を拡大させないように自分でできる応急処置の方法を知っておくことが重要です。
具体的には以下の資材を使った応急処置がおすすめです。
- 雑巾
- 吸水シート
- バケツ
- ブルーシート
- 防水テープ
バケツや雑巾、吸水シートを使った応急処置はイメージしやすいと思います。
濡れた箇所の拭き取り、雨が漏れてくる箇所にバケツを設置しておくことで、水溜まりの発生を防げます。
また、バケツの下にブルーシートを敷いておくとより安全です。
防水テープは漏れ箇所に貼り付けることで、雨水の浸入を防げます。
ただしあくまで応急処置なので、改めて専門業者に依頼して、しっかりとした修理を行うようにしましょう。
雨漏りの再発防止策
雨漏りの再発防止策としては、定期的な点検が有効です。
1箇所を修理したとしても、他の箇所が劣化していた場合、次はその箇所から再度雨漏りが発生する場合があります。
雨漏りが発生した場合は、建物全体で他に劣化している箇所がないか、確認を実施したほうが良いでしょう。
特に屋上や外壁といった場所の不具合は、日頃気をつけていても目に入らないケースも多いので、計画的な点検をおすすめします。
雨漏りが発生し、被害が出てしまった後に修理を施すより、事前に劣化箇所を発見して修理を施しておくことにより、結果的に修理にかかる費用を削減することが可能です。
なお、雨漏りの点検方法は、以下の記事にて解説しています。
家に住んでいると厄介なもののひとつが雨漏り。いざ雨漏りが発生してから対処するよりも、しっかりと予防しておいた方が良いです。それでは、どういう予防をすれば良いのか?わかりやすく解説します。
コンクリートでも安心は禁物!雨漏り対策を把握しよう
鉄筋コンクリート造の住宅やマンションに住んでいる人は、雨漏りなどめったに起こらないだろうと安心している人も多いかもしれません。
しかし木造より強度が高いとはいえ、建物に住んでいる以上、何かしらのトラブルは起こるものと考えておいたほうが良いでしょう。
特に雨漏りは住宅におけるトラブルのうち、非常に多くの件数を占めています。
自分の家は大丈夫だろうと高をくくらず、急に雨漏りが発生した時でも、しっかりと対処できるように、事前に対策を整えておくことが重要です。
まとめ
今回は鉄筋コンクリート造の建物から雨漏りする原因、修理や応急処置の方法について解説しました。
コンクリート部分から雨漏りが起きる主な原因である「ひび割れ」や「コーキング剥がれ」といった現象は、建物を注意深く見ていないとなかなか発見には至りません。
そのため、定期的な点検を行って劣化箇所を早めに発見し、雨漏りに発展する前に修理することがおすすめします。
修理方法は色々ありますが、雨漏りは一度発生すると再発しやすい特徴があるため、起こさないことが一番です。
特に築年数が10年を超える住宅にお住まいの方は、ぜひ一度建物全体の点検を検討してみてください。