工場の屋根の雨漏り
  • 「所有している工場で雨漏りが発生したけれど、どう対策すれば良いのか分からない…」
  • 「普通の住宅と同じ風に考えても差し支えないのかな?」
  • 「何が雨漏りを起こしているのか原因を把握したうえで、どのような対策法があるのか知りたい」

    物件を長い間使用していると、必ずといっていいほど悩まされるのが雨漏り。
    住宅の雨漏りも勿論困りますが、工場で雨漏りが発生した場合は業務に支障をきたすこともありますから、できるだけ早く対策を行いたいものです。

    本記事を読む方の中には、「対策といっても雨漏りを経験したことすら初めてで…」という方も多いのではないでしょうか。
    確かに、住宅に比べて規模が大きく、何かと管理の難しい工場では住宅とは勝手の違う部分が多数存在します。

    しかし、ご安心ください。
    本記事では、工場で雨漏りが起きたときの原因を究明し、その対策法と修理法について徹底的に解説します。

    工場で雨漏りが発生!その原因とは?

    まずは雨漏りの原因から探っていきましょう。

    最初に工場に使われている屋根の種類を明らかにしよう

    最初に工場で主に採用されている屋根材について見ていきましょう。
    使用されている屋根材によって、雨漏りの原因にもバリエーションが生まれます。

    折半屋根

    折半屋根は、多くの工場で採用されている最も一般的な屋根形状です。

    一枚の板金を波型に折り曲げたような形が特徴で、シンプルな構造と高い耐久力が特徴です。
    重ねてさらに強度を増したものや、2重にして断熱材を挟み込むことで断熱性を強化したものなど、バリエーションも数多く存在します。

    しかし、基本的に金属製のために錆に弱く、排水機能に乏しい形状をしているため、定期的なメンテナンスが必要です。

    波型スレート屋根

    波型スレート屋根は、主に小規模の工場に広く普及した屋根形状です。

    古い波型スレート屋根にはアスベストが含有していたこともあり、現在は主流を外れ前述の折半屋根にその座を譲っています。
    ノンアスベストタイプの新しいものは、安価かつ高い施工性が人気で、新築や建て替えまで広く使用されています。

    また、耐火性と遮音性に優れているため、火災に強く、機械の稼働音が近隣に漏れる心配もありません。
    ただし、普及した年代が比較的古いため、築年数の多い物件ではいまだにアスベストを含有した建材が用いられていることもあります。

    金属ボルトの緩みや錆びの発生

    屋根材はボルトで固定されているため、このボルトが緩んで隙間が出来たり、錆が発生すると浸水し、雨漏りの原因となります。

    折半屋根の場合、ボルトの錆が屋根材に移る通称「もらい錆」が起きやすく、これが腐食の原因になります。
    金属ボルトの不備は工場の雨漏りで最も多い原因と言っても過言ではありません。

    換気扇周りの板金・コーキング剤の劣化

    工場の屋根には通常、大きめの換気扇が設置されています。

    これは屋根に対して垂直に設置されていることが多い為、取り合い部は板金やコーキングで補強されています。
    この部分が経年によるダメージを受けることで損傷し、ひび割れ等を起こすことで雨水の侵入を許してしまうのです。

    一度屋根の上に上がらなければ詳しく調べられない為、一般の人が雨漏りの原因を換気扇周りに見出すのは難しいと言えるでしょう。

    屋根材自体の劣化

    たとえば折半屋根の場合であれば、錆が発生することで腐食が進み、そこから浸水します。

    波型スレート屋根の場合は、経年によって塗装が剥がれ、屋根材がむき出しになることで劣化の速度が加速度的に増し、最終的にひび割れを起こして浸水します。
    塗膜が剥がれると撥水性が失われ、コケが大量に繁殖し雨樋を詰まらせる原因にもなり得ます。

    築年数の多い工場は、雨漏り如何に関わらず一度プロの目に見てもらうと良いでしょう。

    自然災害による破損

    経年劣化はもちろんのこと、大雪や地震、台風などの自然災害で屋根の形状が変形してしまうことも考えられます。
    非常に強い力がかかるため、たとえ新築物件であっても油断はできません。

    何らかの自然災害に遭遇した場合は、雨漏り如何に関わらず一度点検を行うことをおすすめします。

    工場の屋根で発生した雨漏りの対策と修理方法

    ここまで、工場における雨漏りの原因について見てきました。

    続いて、雨漏りが起きた際の対策と修理方法についてお話します。
    それぞれ雨漏りの程度に合わせてまとめてあるので、参考にしてください。

    屋根の全塗装

    一般的な住宅を例に挙げると、新築施工から約10年を目安として全塗装を行います。

    工場も同じで、10年目や20年目といったスパンで定期的に全塗装工事を行うことで、屋根の保存性を高めることができるのです。
    また、業者が実際に屋根の上に登るため、自身では発見が難しかった不備を発見しやすくなります。

    なお、塗料にも様々な種類があり、特に錆に強いものや、塗布することで日光を退け室内環境を改善する遮熱塗料等があります。
    単に撥水性や保存性を高めるだけではなく、屋根に別の機能を追加することができるのも、全塗装のメリットです。

    カバー工法

    カバー工法は、既存の屋根の上に新たな屋根を重ねる工法です。

    古い屋根を撤去するための費用が丸々浮くため、コストパフォーマンスの面で優位性があります。
    2重に重ねるという特性上、古い屋根と新しい屋根の間に防音材や断熱材を入れて新たな機能を追加することも可能です。

    ただし、既存の屋根が残ったままになるため、経年により屋根材が剥がれ落ちて室内に落下する等の危険性があります。
    カバー工法で良いのか、撤去した方が良いのかは業者と打ち合わせの上決定しましょう。

    3. 屋根の総葺き替え

    既存の屋根をすべて撤去したうえで、新たな屋根材を施工するのが総葺き替え工法です。

    好きな建材の好きなデザインを選べるうえ、古い屋根が残らないため危険性もありません。
    しかし、足場を組むなど大規模な改修を余儀なくされるため、工場の稼働を一時ストップするなどの必要に迫られます。

    一時的に屋根が無くなってしまうため、機器の移送も行わなければならず、他2つの工法に比べるとかなりコストがかかります。
    総葺き替えはコストの兼ね合いから最終手段として採用されることが多く、そうならないためにも定期的なメンテナンスは欠かせません。

    まとめ

    工場の屋根で雨漏りが起きる原因とその対策法について、ポイントをまとめました。

    雨漏り発生の原因
    • 金属ボルトの不備
      ボルトが緩んだり錆びたりすることで、雨水が侵入する
    • 換気扇周りの各種部材の劣化
      屋根に対して垂直に設置されているため、ダメージを受けやすい
    • 屋根材自体の経年劣化
      塗膜の剥がれによる劣化、コケの発生
    • 自然災害
      大雪や地震、台風による破損
    雨漏りの対策
    • 屋根の全塗装
      10年を目安に行う
    • カバー工法
      既存の屋根の上に重ねる形で施工する
      コストパフォーマンスに優れる
    • 総葺き替え
      既存の屋根を撤去し新しい屋根材を施工する
      莫大なコストがかかるため、採用される機会に乏しい

    工場では、雨漏りが発生した時点で業務に支障が出てしまいます。

    一番良いのは定期的に点検して雨漏りを未然に防ぐことですが、発生してしまったら慌てず専門の業者にお願いしましょう。
    素人判断で手を加えると、かえって悪化することもあるので注意が必要です。