折半屋根での雨漏りの原因
  • 「所有している工場が雨漏りを起こした……」
  • 「住宅の屋根とは形状が違うようだけど、何が雨漏りの原因?」
  • 「修理が必要なら具体的な費用も知りたい」

    どのような建物にも必ず屋根があり、例外はありません。

    そして、どのような建物も、経年により平等に劣化していきます。
    ですが、「じゃあ、どんなに気を付けていても雨漏りは防げないのか」と肩を落とす必要はありません。
    金属屋根であっても、定期的なメンテナンスとしっかりした修繕を行えば、発生や再発を防ぐことができます。

    本記事では、「折半屋根からの雨漏り」をテーマに、その原因と修理の際の費用などについてご紹介します。

    「折半屋根」とは?詳しく解説

    「折半屋根」とは、一枚の金属板を波状に加工し、連結させたものです。

    主に車庫やカーポート、工場や倉庫などに用いられることが多く、住居に用いられることはそれほど多くありません。
    建材としてはガルバリウム鋼板のものが最も多く、採用されている折半屋根のほとんどが金属製です。

    折半屋根のメリット
    • 金属製のため耐火性に優れている
    • 排水性が高い
    • コストパフォーマンスに優れている
    • 施工性に優れているため、全体的な工期を抑えることが出来る
    折半屋根のデメリット
    • 夏場は熱を持ち、室内が高温になりやすい
    • 経年により錆が発生するため、定期的な塗装が不可欠
    • 雨音等が反響しやすく、防音性は低い

    折半屋根で雨漏りが発生する原因4選

    本項では、折半屋根から雨漏りをする主な原因についてお話します。

    1. 金属ボルト部の錆や劣化

    折半屋根は金属ボルトによって、タイトフレームと呼ばれる躯体に固定されています。
    このボルトタイトフレームを通過して、室内まで貫通していることがほとんどです。

    そのため、ボルトが錆びる等して隙間が生じると、屋根に落ちた雨水がそのまま室内へと侵入してきます。

    また、金属は熱すると伸び、冷やすと縮む性質を持っているため、夏と冬を交互に経験した屋根材そのものの伸縮によって、ボルトの錆如何に関わらず隙間が生じている場合があります。
    折半屋根から雨漏りを起こしたら、まずは真っ先にこのボルトを疑った方が良いでしょう。

    2. ジョイント部の劣化

    折半屋根が一枚の板を波状に加工した建材であることは、冒頭ですでに述べました。
    一枚の板といっても、屋根の端から端まで本当に一枚の板で構成されているわけではありません。

    定められた規格に準拠したサイズの板金を、何枚も連結させることで屋根を形成しています。

    何枚も連結させているということは必ずジョイント部が生まれるということを意味しており、このジョイント部が劣化することで雨漏りの原因となってしまいます。
    ジョイント部が劣化してしまう原因は様々ありますが、多くは伸縮を繰り返すことによる劣化や施工不良が原因です。

    3. 笠木部分

    折半屋根には端に「笠木」と呼ばれる板金が取り付けられています。

    この笠木は屋根と外壁の接合部をカバーするもので、屋根とは直接関係が無いように見えますが、錆びて穴が開いたりするとこれが雨漏りの原因になります。
    その他、隙間を埋めるためのコーキング剤が劣化すると、そこから雨水が侵入してきます。

    4. 経年による劣化

    言わずもがな、折半屋根は金属製の建材です。
    金属であれば錆の発生は免れません。

    軽微な錆であれば塗装で誤魔化すことも可能ですが、腐食が進行して穴が開いたりすると、その部分からダイレクトに雨水が侵入します。
    折半屋根に多く採用されているガルバリウム鋼板は高い耐久力を誇りますが、メンテナンスを行わなければせいぜい30年程度しか持ちません。

    海沿いなどの塩害が懸念される地域であれば、折半屋根の劣化はさらに早まるとみて良いでしょう。

    折半屋根の雨漏りを修理する方法4選!

    「劣化したり、雨漏りを起こした折半屋根はどう修理すればいいの?」

    本項ではその疑問にお答えするため、ケース別に4つの修理方法をご紹介しています。
    費用も併せて記載するため、参考にしてください。

    1. 部分的な補修

    ボルトの錆やコーキングの劣化など、損傷が軽微な場合は部分的な補修で事足りる場合がほとんどです。

    たとえばボルトの劣化に関しては、ボルトキャップと呼ばれる製品を別途用意してボルトに被せるだけでも雨漏り対策になります。
    コーキングに関しては、ひび割れを起こしている部分を撤去し、新たに打ち直すことで雨漏りの原因を一つ潰すことができます。

    費用の目安

    300㎡換算でおおむね3万円~20万円程度
    規模と程度により前後

    2. 屋根の全塗装

    こちらは修理と言うよりもメンテナンスの側面が強いですが、屋根を全塗装することで耐久性と防水性を高めることができます。

    雨漏り対策を考える上では、極力「水を溜めない、スムーズに排水する」ことが重要になります。
    特に錆が散見されるような屋根の場合であれば、期待通りの効果を得ることができるでしょう。

    費用の目安

    300㎡換算で120万円~160万円
    使用する塗料や塗り回数により前後

    3. カバー工法

    カバー工法は、既存の屋根の上に新たに屋根を重ねる修理方法です。

    錆が多発してところどころ穴が開いていたり、金属ボルトやコーキング、笠木などの問題が複合的に絡み合っていて解決が難しい場合、この工法が採用されます。
    部分的な修理では追い付かなくなった時に採用される、と考えておけば間違いありません。

    ただし、カバー工法を行っただけでは雨漏りの抜本的な解決にならない場合もあります。

    たとえば、新しく施工した屋根と既存の屋根との隙間に何かしらの問題が生じてしまえば、それが雨漏りの原因になります。
    カバー工法はあくまでも新規の雨水を嫌うための工法であり、建物内部の問題に関しては干渉できないという点を覚えておきましょう。

    費用の目安

    300㎡換算で200万円~
    使用する屋根材により前後

    4. 葺き替え

    葺き替えは、既存の屋根を一度撤去し、新たな屋根材に交換する工法です。

    一度屋根を撤去してしまうため、屋根の下に潜んでいた雨漏りの原因もまとめて潰すことが可能です。
    抜本的な解決を行えるといった点では、雨漏りの修理法としては最良の選択であると言えるでしょう。

    ただし、カバー工法等に比べてもかかる費用がけた違いに高く、さらに既存の屋根を撤去するため工期も長めにとられます。
    工場などの場合は一時業務をストップしなければならないため、莫大なコストが必要になります。

    葺き替えを行うか、カバー工法で様子を見るかは、専門業者との打ち合わせで決めると良いでしょう。

    費用の相場

    300㎡換算で350万円~
    葺き替える屋根材により前後

    失敗しない修理業者の選び方

    「じゃあ、専門業者に修理を依頼しよう」と思い立っても、業者を選ぶ基準を知っておかなければ失敗する可能性があります。
    知識や経験に乏しい業者や、そもそも雨漏りの修理を専門としていない業者では、せっかく工事を発注してもきちんと解決されない場合があります。

    業者選びで失敗しないためのポイント
    1. 屋根修理の専門業者であるか確認する
      業者はそれぞれ特化した分野を持っていることがほとんで、屋根の雨漏り修理を専門に行う業者も存在します。
      たとえば普通の塗装業者に雨漏りの修理を依頼しても、ペンキを塗ってきれいにして終わり、という結果しか得られません。
      インターネット等を活用して、屋根修理の専門業者を探す必要があります。
    2. 建設業許可を得ていること
      折半屋根は特性上、大規模な倉庫や工場などに広く普及しています。
      もし見積もりを行った時点での施工価格が500万円を超える場合は、自治体や国土交通省が発行する「建設業許可証」が必要になります。
      これは認可を受けた業者か否かを見分ける一つの指標にもなり得るため、たとえ見積もり価格が500万円を切っていたとしても、建設業許可を得ているかどうかは一度チェックしておくと良いでしょう。

    まとめ

    本記事では、折半屋根の概要と特徴、雨漏りを起こす原因とその修理方法についてお話ししました。
    以下にポイントをまとめておきます。

    折半屋根のメリットとデメリット
    • メリット:
      • 耐火性に優れている
      • コストパフォーマンスが高い
    • デメリット:
      • 夏場は熱を持つ
      • 防音性が低い
    修理方法
    • 軽微な破損は部分補修
    • 雨漏りの抜本的な解決を望むのであれば葺き替えがベスト
    業者選びで失敗しないために
    • 屋根修理の専門業者に依頼する
    • 建設業許可証を有しているか確認する

     

    雨漏りを起こさない為にも、定期的な点検とメンテナンスは欠かさないようにしましょう。