「天井から雨漏りした……もしかして原因は屋上?!」
「原因を知って、自分で出来る対策がしたい!」
「もし専門業者にお願いすると、費用はどのくらいかかるの?」

何かと便利な屋上付き物件。
スタイリッシュな外観から、近年特に注目の集まっている構造でもあります。
しかし、おしゃれに苦難はつきもの。
ここにきて、「屋上から雨漏りをしている」という報告が多数上がっています。

本記事では、屋上付き物件にフォーカスし、屋上から雨漏りを起こす原因と、DIYを駆使した修理方法をご紹介します。
万一自らの手に負えなかった場合を考慮して、専門業者に雨漏り修理をお願いした場合の費用の相場も併せてご紹介しますので、参考にしてください。

屋上から雨漏り!その原因とは?

では早速、屋上から雨漏りを起こす原因についてみていきましょう。

1. コンクリートのひび割れ

まず真っ先に疑われるのが、コンクリートのひび割れ(クラック)です。
コンクリートは一見頑丈なように見えますし、また実際に頑丈ですが、一年を通して様々な影響を受けているため、劣化しやすくなっています。
主な劣化原因としては以下三つが挙げられます。

コンクリートがひび割れを起こす主な原因
  • 乾燥委縮
    コンクリート内部に蓄えられた水分が蒸発する過程でコンクリートが収縮し、これを繰り返すことでコンクリートにひび割れが生じます。
  • 気温の変化
    一般的に、コンクリートは気温が高いと伸び、低いと縮みます。
    寒暖差の激しい日本の気候では、コンクリートは連続して伸縮を繰り返すため、劣化を早める原因となります。
  • 中性化
    雨や大気中に含まれる二酸化炭素にコンクリートが晒されると、コンクリート内部のカルシウム化合物が中性化します。
    内部に鉄筋が埋め込まれている場合、中性化により鉄筋が錆びてしまい、コンクリートが錆びに押される形で膨張、ひび割れの原因となります。

2. コーキングや防水層の劣化

屋上の目地や笠木のまわりに用いられているコーキングが劣化すると、そこから雨水が侵入します。
雨水が侵入するとコンクリートを中性化し鉄筋を錆びさせ、また水分が蒸発する際には乾燥委縮が発生します。
コーキング剤は施工性の高い防水材ですが、劣化しやすいためこまめな点検が必須になります。

同じ理屈で、屋上床面に施されている防水層が劣化すると、雨水の侵入を許してしまいます。
防水層の劣化箇所から入り込んだ雨水は、まだ生きている防水層に阻まれて蒸発することが出来ず、ずっとコンクリート内部に留まります。
本来入ってはいけない箇所に水が入り込むと様々な瑕疵を引き起こし、長期にわたって放置すれば根本的な解決は難しくなります。
防水層は、施工方法にもよりますが耐用年数はおおむね10年程度とされているため、これも定期的な点検が必要になります。

3. 排水溝の詰まり・劣化

屋上には必ず、雨水を排出するための排水溝が設けられています。
この排水溝がゴミなどで目詰まりを起こすと、スムーズに排水を行うことができず、屋上床面に水が溜まりっぱなしになってしまいます。
水が長期にわたって留まり続けることの危険性は、上述の通りです。

見晴らしの良い屋上の場合、街から飛んでくる落ち葉や虫の死骸等で排水溝が詰まり易くなっています。
定期的に掃除し、排水溝自体に劣化が見られる場合は交換を検討すると良いでしょう。

4. 勾配不良

どのような建物であっても、雨水を排出するために「勾配」が設けられています。
屋根が三角の形をしているのは、雨水や雪を効率よく排出するためです。
屋上においても同じで、一見フラットに見える床面は、実は緩やかに勾配しています。
この勾配によって、雨水を排水溝まで運び、排出しているのです。

構造に欠陥がある、建物自体が経年劣化で歪んでいる、等の要因により、この勾配が失われてしまうと、雨水をスムーズに排出することができなくなってしまいます。
結果として床面にいつまでも水が残り続けることになり、これが雨漏りの原因を作り出します。
特に、今まで何事も無かったにも関わらず、ある日突然屋上に水たまりができた、という場合には、内部構造に深刻なダメージを負っている可能性があります。

DIYでも可!屋上からの雨漏りを改善する方法

ここまでは、主に屋上から雨漏りを起こす原因についてお話ししました。
この項では、DIYを駆使して自分で屋上からの雨漏りを防止・改善する方法についてご説明します。
万一専門業者を頼らざるを得なくなった場合を考慮して、費用の相場も併せてご紹介します。

1. ひび割れの補修

ひび割れ(クラック)の太さが0.3mm~1.0mm程度であれば、自分で補修することが可能です。

チョーク式によるひび割れの補修方法
  1. ひび割れ箇所に少量の水を塗布する
  2. チョーク型のコンクリートパウダーをひび割れ箇所に均一に塗り込む
  3. 1~2の作業を10cmの感覚で行う
  4. 最後に指で押さえて完了
スプレーによるひび割れの補修方法
  1. ひび割れ箇所に少量の水を塗布する
  2. セメントスプレーを塗布する
  3. 専用スポンジで均して完了
修理の際の注意点
  • 湿度の低い、晴れた日に行う
  • 修理を行う箇所はあらかじめ掃除しておき、ゴミや塵を取り除いておく
  • 補修箇所以外が汚れてしまわないよう、養生を行う

2. コーキングの打ち直し

目地や笠木まわりのコーキングが劣化している場合、これも自分で直すことが可能です。

必要な道具
  • コーキング剤
  • コーキングガン
  • カッターナイフ
  • ラジオペンチ
  • プライマー(下塗り材)
  • 刷毛
  • ヘラ
  • マスキングテープ(紙テープ)
コーキングの打ち替え方法
  1. 古くなった既存のコーキングにカッターナイフを入れ、ラジオペンチを使ってむしり取る
  2. 撤去した下地に湿気がある場合は、しばらく置いて乾燥させる
  3. マスキングテープで養生を行う
  4. 下塗り材を塗布し、乾燥させる
  5. コーキングガンにコーキング剤をセットし、該当箇所にコーキングを充填する
  6. ヘラを使って均等に均す
  7. 養生を外し、完全に乾燥させれば完了

3. 防水層の再形成(専門業者に依頼)

古くなった防水層を再び形成するのは、DIYの範疇を超えていますので、専門業者に依頼する形になります。
以下、屋上防水の種類と特徴、費用の相場についてそれぞれまとめてあります。

ウレタン防水

耐用年数 :10~12年
費用相場 :4,000~6,000円/㎡
メリット :複雑な形の床面でも対応が可能
デメリット:仕上がりは職人の技量に大きく左右される

シート防水

耐用年数 :10~15年
費用相場 :5,000~10,000円/㎡
メリット :既製品を敷いていくので、均一な防水層を形成できる
デメリット:複雑な形や、凹凸の多い床面には適さない

アスファルト防水

耐用年数 :15~25年
費用相場 :5,500~8,000円/㎡
メリット :防水性能に優れている
デメリット:施工中は独特の匂いが発生する。また、他の工法と比較して工期が長い

どの防水を選ぶかは、専門業者と相談したうえで決定しましょう。

 

4. 排水溝の詰まりを除去

排水溝に溜まったゴミは、手で簡単に除去することが出来ます。
奥の配管まで行ってしまったゴミに関しては、バケツに水を汲み、排水溝に向かって何度か流すことで改善できます。
蛇口がある場合はホースをつないで、排水溝に向けてしばらく放水しておくのも良いでしょう。

まとめ

本記事のまとめになります。

まとめ

【屋上から雨漏りを起こす原因】

  • コンクリートのひび割れ
  • コーキング・防水層の劣化
  • 排水溝の詰まり・劣化
  • 勾配不良

【DIYで対応可能な修理】

  • ひび割れの補修
  • コーキングの打ち替え
  • 排水溝の掃除

【防水層の形成】

  • ウレタン防水  / 4,000~6,000円/㎡ 複雑な形の床面でも対応が可能
  • シート防水   / 5,000~10,000円/㎡ 均一な防水層を形成できる
  • アスファルト防水/ 5,500~8,000円/㎡ 防水性能が高い

常日頃から気を配り、問題が発覚するたびに修理を行っていれば、雨漏りの心配はありません。
普段よりもちょっと気を配って、建物の状態を見てあげるようにしてください。