- 「片流れ屋根がかっこいいので気になってるんだけど、雨漏りをしやすいと聞いた…」
- 「メリットとデメリットを客観的に見て判断したい」
- 「雨漏りを起こさない為の対策法とかはあるの?」
シンプルでスタイリッシュ、現代的なデザインが人気の片流れ屋根。
これまでは物置など比較的小さな建物に採用されてきた屋根の形ですが、近年では普通の住宅にも採用されるようになりました。
本記事をこれから読まれる方は、既に片流れ屋根の住宅に住んでいる、もしくは引っ越しを検討している方かと思います。
そこで今回以下をテーマに解説をしていきます。
- 片流れ屋根はなぜ雨漏りを起こしやすいと言われるのか
- 片流れ屋根のメリットとデメリット
- 片流れ屋根の雨漏り対策4選
以上、ポイントを3つに絞って説明していきます。
片流れ屋根が気になっているという方は是非参考にして頂ければと思います。
そもそも片流れ屋根とは?
片流れ屋根とは、読んで字のごとく勾配が一方向にだけ設けられている屋根のことを言います。
イメージとしては、大きな一枚の板が建物に対して斜めに覆いかぶさっている状態です。
片流れ屋根は敷地の狭い住宅地であっても建物面積を確保しやすく、三角屋根に比べて無駄なスペースを産みにくいのが特徴となっています。
狭い場所を効率的に使えるという特性上、片流れ屋根は住宅密集地や都会と親和性が高くなっています。
また、平屋の住宅には片流れ屋根が採用されることが比較的多くなっています。
平屋かつ片流れ屋根であれば高い位置に窓を設けることが出来、採光に際して優位性を確保できます。
高い位置から光を採り入れることで家の中に影が生まれづらくなり、明るく快適な生活を送ることが出来るのです。
片流れ屋根は雨漏りを起こしやすいって本当?
「片流れ屋根は雨漏りを起こしやすい」、巷ではそのような意見もありますが、これは本当でしょうか。
雨漏りのリスクは、基本的に屋根構造の複雑さと比例します。
ということは、片流れ屋根のシンプルな形状は雨漏りのリスクが低いはずです。
しかし、問題は屋根の形状ではなく、屋根に落ちた雨水がどのように排出されるかです。
片流れ屋根では屋根の頂上付近に降った雨水は外壁に向かって流れていきます。
この時に屋根の裏側を伝って外壁と屋根の間に雨水が侵入すると、雨漏りの原因となります。
施工不良により屋根と外壁の取り合い部がしっかりと処理されていなければ、そのまま雨水が侵入してきてしまいます。
また、軒が一方向にしかない分、屋根が外壁を覆い隠しきれず、軒の無い外壁は雨風の影響を強く受けてしまいます。
ダメージを受けやすいということはそれだけ劣化しやすいということで、外壁に不備があれば雨漏りのリスクは高まります。
これが、「片流れ屋根は雨漏りを起こしやすい」と言われる理由です。
片流れ屋根のメリット・デメリットを紹介
片流れ屋根の基本は上記の通りですが、それでは具体的にどのようなメリットとデメリットがあるでしょうか?
メリットとデメリットそれぞれ紹介していきます。
片流れ屋根のメリット
コストを低く抑えられる
シンプルな構造を持つ片流れ屋根は、施工に手間がかからない分建築費用を安く抑えることが出来ます。
大きな一枚板を張るイメージなので屋根そのものに接合部が存在せず、雨樋も一方向に取り付けておくだけで大丈夫です。
施工に手間がかからないということは、新築時に限らずリフォームの際もコストを抑えられるということです。
新築から年数が経過してメンテナンスの時期が訪れても、工事費用を比較的安価に抑えられるためランニングコストに悩みません。
ソーラーパネルを活用しやすい
構造がシンプルで屋根の勾配が一方向にしか向いていない片流れ屋根は、屋根全体にソーラーパネルを搭載することが可能です。
たとえば屋根の勾配が南向きであれば、ソーラーパネルの持つ力を最大限に引き出すことが出来ます。
新築時、リフォーム時のコストが比較的安価という点を踏まえても、片流れ屋根は非常に経済的であるといえます。
デッドスペースが生まれにくい
たとえば三角屋根では天井裏と屋根のスペースが無駄になりがちですが、片流れ屋根は一方向にしか勾配が存在しない為このスペースを有効に活用することができます。
収納スペースとしてはもちろん、時にはちょっとオシャレな部屋として使うことも可能です。
片流れ屋根のデメリット
屋根や外壁にダメージを受けやすい
上記でも少し述べましたが、片流れ屋根は構造上軒が外壁の一面にしか存在しません。
軒というのは簡単に言えば雨や風から外壁を守る傘のようなものです。
軒が一面にしかない片流れ屋根では、軒の存在しない他三面の外壁が雨風のダメージを受けやすくなっています。
外壁へのダメージは塗装の剥げや外壁材の劣化と言った形で現れます。
雨樋への負担が大きい
片流れ屋根はその構造上、屋根で受けたすべての雨水を一本の雨樋に委ねることになります。
大量の雨水が一本の雨樋に流れ込めば当然負荷が大きくなり、万一破損すれば雨漏りの原因となります。
片流れ屋根ではどうしても雨樋への負担は避けられない為、定期的なメンテナンスが必須となります。
片流れ屋根から雨漏りを起こす原因
メリットとデメリットをはっきりさせたうえで、片流れ屋根が雨漏りを起こす原因を探ってみましょう。
片流れ屋根が雨漏りを引き起こす原因は主に2つあります。
軒から伝ってくる雨
構造の特徴をお話しした項でも触れましたが、片流れ屋根は大きな一枚板を斜めに張ったような形になっています。
すると屋根の頂点部分は軒が極端に短くなり、受けた雨水が破風板にまで伝わり、それがさらに浸透して外壁との取り合い部へと浸水します。
これが、片流れ屋根の最もメジャーな雨漏りの原因です。
劣化しやすい外壁
軒が短いということは外壁を守ってくれる傘が少ないということであり、雨風や紫外線などのダメージが直接外壁に当たってしまうということです。
具体的には、サイディングボードのひび割れ、コーキング剤の劣化、塗料の色褪せ、劣化、汚損などが挙げられます。
これらの要素が複合的に組み合わあさることで、雨漏りの原因を作ってしまいます。
これで万全!片流れ屋根の雨漏り対策
「片流れ屋根の仕組みは分かった。じゃあ雨漏りが起きるのは仕方がないこと?」と、ここまで読んだ方は思うかもしれません。
安心してください、片流れ屋根でも雨漏りを防ぐ方法は存在します。
雨漏りを防ぐために4つの方法を見ていきましょう。
伝い水を防ぐ加工をする
片流れ屋根が雨漏りを起こす原因で最も多いものは、軒からの伝い水だと述べました。
この伝い水さえ防御してしまえば、雨漏りを起こすリスクはぐっと下がります。
具体的には、
- 屋根の頂上付近を防水シートで覆い隠してしまう
- 水切り板金を付ける
- 破風板を立ち上げて雨水を退ける
等の方法があります。
換気を良くする
屋根裏に湿気がこもると屋根材の劣化が早まってしまうため、換気を工夫する必要があります。
換気が悪いとシロアリなどの発生にもつながるため、案外無視できません。
屋根裏に送風ファンなどを取り付けて強制的に湿気を逃がしてしまうのが確実でしょう。
屋根と外壁との取り合い部に注意
これまでに何度も述べてきましたが、片流れ屋根は屋根と外壁の取り合い部から雨水が侵入しやすい構造になっています。
そのことをあらかじめ知っておけば、定期的にメンテナンスを行うなどして日ごろから注意を払うことができます。
万が一部材の劣化が見られた場合は、出来るだけ早く専門の業者にお願いして修理してもらうのが良いでしょう。
切妻屋根を採用する
かなり根本的な解決にはなりますが、これも有効な対策の一つです。
短い軒を少し延長し、変形の切妻屋根として構築すれば雨水を逃がしやすい構造になります。
ただしこれはデザインや費用が変わってしまうため、採用するか否かは慎重に決めた方が良いでしょう。
まとめ
本記事では、片流れ屋根の特徴とメリットデメリット、雨漏りを起こす原因とその対策についてお話ししました。
以下ポイントです。
- 片流れ屋根とは、勾配が一方向だけの屋根の形状
- コストパフォーマンスが高く、意匠性も高い
- 構造上、外壁を痛めやすく雨漏りのリスクが高い
- 伝い水を防ぐ施工で雨漏りを予防
最近では新築でも採用されることの多くなった片流れ屋根。
既に住んでいる人も、これから新築を考えている人も、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。