- 「マンションの雨漏りは何が原因で起こるんだろう…」
- 「修理方法や費用の負担先についても知っておきたいなぁ…」
マンションに長く住んでいると、雨漏りを経験することもあると思います。
特に近年では大型の台風や大雨が増加しているため、いっそう注意する必要があります。
しかし雨漏りが起きる原因と対策について、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
またマンションのような区分所有建物で雨漏りした場合、修理費は誰が負担するのか気になる人も多いでしょう。
そこで本記事では、マンションにおける雨漏りの原因と、修理方法や費用の負担先について、詳しく解説していきます。
マンションで発生する雨漏りの特徴
初めにマンションで発生する雨漏りの特徴を説明します。
マンションで雨漏りが発生する原因
マンションで発生する主な原因としては、以下のケースが考えられます。
- 外壁や屋上などのひび割れ
- コーキングの劣化
- 雨樋の詰まり
- 屋上のベランダに施した防水層の劣化
- 配管の劣化
その他にも様々な原因がありますが、ほとんどの場合、建物の老朽化が影響しています。
特に外壁や屋上は常に雨風にさらされていますので、劣化が進行しやすいです。
外壁や屋上の劣化具合は、普段はなかなか確認できない箇所なので、定期的な点検を行うことが重要です。
最上階は特に注意が必要
マンションの最上階に住んでいる場合、屋上から雨漏りした際、天井から漏水する可能性が高いため注意が必要です。
屋上からの雨漏りが起こった場合、天井から水滴が垂れてくることもありますが、シミとなって現れるケースも多く、雨漏りなのか他の原因によるものなのか、判断がつかない場合もあります。
雨が止んだ後になって、雨水が徐々に建材の内部に染み込み、数日後にシミとなって現れるケースもあります。
もしシミができているのを発見した際は、数日前に雨が降ったことがなかったか、思い返すようにしてください。
またシミを発見した際は、結露や水漏れが発生しやすい設備(エアコンなど)が近くにあるかどうかも、見分けるための重要なポイントです。
マンションで雨漏りしやすい箇所
マンションで雨漏りが発生する箇所は大抵決まっています。
お住まいにマンションで、雨漏りが起こりやすい箇所を前もって把握しておけば、対策も取りやすくなります。
以下の内容をしっかりと把握しておきましょう。
屋上
ある程度の規模のマンションにおいては、屋根ではなく屋上が設けられています。
屋上は雨や紫外線の影響を直接受けるため、劣化が進行しやすく、雨漏りが発生しやすい場所です。
主な原因としては、コンクリートがひび割れを起こしたり、コーキングが剥がれたりすることで、雨漏りを招くケースが多いです。
また、防水層が劣化して雨漏りを招く場合も多く、計画的な防水工事を実施する必要があります。
外壁
外壁も屋上と同じく、外部の影響を受けるため、劣化しやすく雨漏りを起こしやすい場所の一つです。
外壁から雨漏りする原因として多いのが、塗装の劣化によるものです。
外壁は塗装を施すことにより表面に塗膜が形成され、防水効果が得られます。
しかし塗装は年数が経つと剥がれたり、ひび割れが生じたりするため、防水効果が薄れていきます。
多くの場合、再塗装を施すことにより修理できますが、場所によっては足場を組んだり、仮設ゴンドラを設置する必要があるため、工事期間が長くなるケースがあります。
また部分的な修理をしても、他の場所から再度雨漏りが発生する可能性もあります。
外壁塗装は一般的に5~10年に1回程度の周期で、全体の塗装替えの実施が推奨されていますので、塗装替えの時期に入っている場合は、全体の再塗装を行うことをおすすめします。
ベランダ
ベランダからの雨漏りは、床面の防水層の劣化や排水口の詰まりによって発生します。
防水層の劣化は簡単に直せず、屋上の場合と同様、防水工事を実施しなければ改善できません。
また排水口にゴミや落ち葉などが蓄積して詰まってしまうと、雨水を排水できなくなり、ベランダに水が溜まってしまいます。
水溜りは雨漏りを引き起こす原因に繋がりますので、排水経路は必ず確保しておく必要があります。
大抵の場合は排水口の清掃により改善できますが、詰まりが深刻な場合は、高圧洗浄などを行う必要が出てきます。
窓
窓も雨漏りが発生しやすい箇所の一つで、特にサッシ部分のコーキングに亀裂が入ることが原因となるケースが多いです。
窓は屋根や外壁と違い、日常的に目にする場所なので、注意深く見ていれば、雨漏りの前兆に気づける場合もあるでしょう。
また台風や大雨などの影響で、窓の上にある配管や換気扇から雨水が伝ってくるケースもあります。
窓からの雨漏りは、ほとんどの場合、サッシのコーキング打ち直しで修理できます。
コーキングの打ち直しのみであれば、数時間で施工可能です。
ただし、窓本体やサッシの全体的な交換が必要な場合や、漏水箇所が複数に及んでいる場合は、1~3日間ほど期間を要します。
マンションの雨漏り修理費は誰が負担する?
次にマンションで雨漏りが発生した場合における、修理費の負担先について解説します。
雨漏りの原因が重要
雨漏りの修理費の負担先を決めるうえで重要なのが、雨漏りの原因が何であるかです。
具体的には、入居者の過失によるものか、経年劣化によるものかによって、負担先が異なります。
入居者の過失によって雨漏りが発生してしまった場合、原則として入居者自身が修理費を負担しなければなりません。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 窓を閉め忘れたため、多量の雨が入り込み下階まで浸水した
- ベランダの排水溝を掃除しておらず、雨水を排水できなかったため、下階へ浸水した
特に台風や大雨が予測される際は、排水溝が詰まっていないか確認しておくことをおすすめします。
共有部・専有部で負担先が異なる
区分所有建物であるマンションには専有部、共用部という区分けがあります。
- 住居所有者の所有権の目的となる部分。
分譲マンションの居室(◯号室)などが該当します。
- 専有部分以外の建物の部分。
階段、廊下、エレベーターなど入居者全員が利用する場所が該当します。
共用部で雨漏りが発生した場合、基本的にマンション管理会社や管理組合で修理費を負担します。
専有部の場合、入居者の責任によって雨漏りが発生したのであれば、入居者が修理費を負担しなければなりません。
ただし雨漏りの原因が共用部分にあれば、入居者の負担にはならず、マンション管理会社や管理組合の負担になります。
要するに雨漏りしている場所や発生原因によって、負担先を判断するということです。
なお雨漏りの修理は、多くの場合、火災保険の対象になりますので、ご修理対応をする際は、加入している保険会社に確認を取るようにしましょう。
新築の場合は保証期間の対象となる可能性
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、新築住宅には10年間の雨漏り保証期間があります。
そのため、新築マンションの場合、10年以内に発生した雨漏りであれば、保証範囲で対応できることがあります。
しかし、この法律は施工業者の瑕疵により起きた雨漏りの保障を定めたものなので、自然災害など突発的に起こった雨漏りは保障対象外です。
雨漏りであれば何でも保障してくれるわけではないので注意しましょう。
マンションで発生した雨漏りの修理方法とは?
最後にマンションで発生した雨漏りを修理する方法について、具体的に解説していきます。
まずは管理会社へ連絡する
マンションで雨漏りを発見した場合、建物の管理会社に連絡を取り、状況報告をしましょう。
もし雨漏りを放置して二次被害に発展してしまうと、場合によっては入居者側の責任になることもありますので、速やかに行うようにしてください。
なお、微量の雨漏りの場合、修理業者が現地を確認するまでの間で、雨漏りが収まってしまうケースも考えられます。
雨漏りの修理を行う場合、どこから漏れているのか、事前に把握することが重要なポイントです。
連絡する際は漏れている箇所を正確に把握しておき、可能であれば状況写真を撮っておくことをおすすめします。
雨漏りの主な修理方法
雨漏りを修理する主な方法を紹介します。
コーキング打ち直し
コーキングとは、外壁タイルや窓サッシの隙間に注入してあるゴムのような素材のことです
窓サッシや外壁においては、コーキング剥がれによる雨漏りが起こりやすいです。
コーキングは手の届く場所であれば、DIYでも実施が可能ですが、外壁など危険を伴う箇所の場合、専門業者へ依頼するのが基本です。
防水工事
前述したように、屋上やベランダにおける雨漏りは、防水層の劣化によるものが多いです。
防水層の補修は高度な技術を要しますので、専門業者へ依頼するようにしてください。
防水工事には主にFRP防水、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水の4種類があり、どの工法を選択するかによって工事期間や耐久性、工事費用が異なりますので、状況に応じて適切な工法を選ぶことが重要です。
一般的には工事期間の短いFRP防水やシート防水が採用されるケースが多くなっています。
塗装工事
屋根や外壁からの雨漏りでは、塗装の劣化が影響して発生するケースが多くなっています。
塗装は単に建物の見栄えを良くするためだけでなく、防水性能を上げる効果があります。
経年劣化や自然災害により、塗装が剥がれたり、ひび割れしたりすると、壁そのものを傷める原因になります。
こうした状況を防ぐためには、定期的な塗装工事を行っていく必要があります。
塗装工事で使用する塗料にも様々な種類があり、グレードの高いものほど耐久性が高まりますが、施工価格も高額になります。
どのグレードの塗料を選択するかは、建物の構造や周辺環境、劣化の進行具合などによって考えていくと良いでしょう。
自分でできる応急処置
雨漏りが発生した場合は、できるだけ早めに専門業者へ連絡することをおすすめします。
雨漏りを放置すると被害が拡大し、複数の箇所から漏水する可能性もあります。
また専門業者へ連絡しても、すぐに駆けつけてくれるとは限らず、現地を確認した後、修理に取り掛かるまでの間に、雨漏りが再発することも考えられます。
そのため雨漏りの被害を拡大させないように自分でできる応急処置の方法を知っておくことが重要です。
具体的には以下の資材を使った応急処置がおすすめです。
- 雑巾
- 吸水シート
- バケツ
- ブルーシート
- 防水テープ
バケツや雑巾、吸水シートを使った応急処置はイメージできると思います。
濡れた箇所の拭き取り、雨が漏れてくる箇所にバケツを設置しておくことで、水溜まりの発生を防げます。
またバケツの下にブルーシートを敷いておくとより安全です。
防水テープは漏れ箇所に貼り付けることで、雨水の浸入を防げます。
ただし、あくまで応急処置にしかなりませんので、後日しっかりとした修理を行うようにしましょう。
雨漏りの原因がわからない場合の対処方法
ここまで雨漏りの主な原因や修理方法を説明してきましたが、どうしても原因がわからない場合の対処方法も知っておくことをおすすめします。
結露や水漏れの可能性もあり
雨漏りの原因がわからない場合は、そもそも雨漏りではなく、別の要因によって発生した現象ではないか考えてみましょう。
まずは以下の項目に該当するかどうか、チェックしてみてください。
- 雨が降っている際または降った後に水が垂れてきた
- 水滴の箇所はエアコンなどの設備の付近ではなかった
- 水滴の箇所は屋根の真下だった
- 天井や窓の一部分に水滴ができていた
- 換気をしても改善しなかった
これらに該当する場合は雨漏りの可能性が高いですが、該当しない場合は他の原因を疑ってみましょう。
ありがちなのはエアコンの不具合による水漏れと、天井裏や窓の結露です。
特に冬場は暖房の使用によって、結露を引き起こすケースが多いです。
夏よりも冬に結露が起こりやすいのは、暖房を利用した際、室内と室外の温度差が冷房の時より大きくなりがちだからです。
なお、結露の場合であっても改善策を考えず放置していると、カビやシロアリの発生を招いてしまうケースがありますので、適度な換気や除湿機の利用などによって、予防に努めることをおすすめします。
雨漏りの調査方法とは?
雨漏りが原因で漏水していることが明らかでも、どこから漏れているのか、はっきり突き止められないケースがあります。
漏れ箇所を特定するためには、様々な方法がありますが、主に以下の3つの調査方法で行います。
目視調査
目視調査は特別な道具を用いることなく、目で見て判断する方法です。
専門知識をもった調査員が、天井裏や外壁や屋上のコーキングなど、雨漏りが起こりやすい箇所を入念に見ることで、雨水浸入の跡を調査します。
目視調査により、ある程度の目星をつけることは可能ですが、どこから漏れているか確実に突き止めるのは困難なので、他の調査方法と併用されることも多いです。
散水試験
雨漏りしていると思われる箇所にホースやバケツで水を撒いて水が漏れてくるかどうかを確認する調査方法です。
実際に水を撒くことで雨漏りを再現しますので、目視で調査するより確実性があります。
ただし微妙な雨漏りだと、かなりの量の水を撒かなければ確認できないケースもあり、原因の特定まで時間を要してしまう可能性もあるので注意しましょう。
サーモグラフィー調査
温度の感知が可能なサーモグラフィー(赤外線カメラ)を利用して、雨漏りしている箇所を特定する調査方法です。
もし建物内で雨漏りしている箇所があれば、その箇所だけ周囲より温度が下がっているはずなので、サーモグラフィーで確認できる温度分布の色の違いにより、雨漏り箇所を特定することが可能です。
雨漏り発見時の対応を事前に把握しておこう
急に雨漏りが発生すると、焦ってしまう人も多いと思います。
誰に連絡をして、どのような応急処置を施せばいいのか、すべて把握している人は少ないでしょう。
ですが、雨漏りは何の予兆もなく、突然襲ってくるケースも多々ありますので、日頃から雨漏りが起きた場合の対応を想定しておくことが重要です。
特にマンション管理会社の緊急連絡先は、必ず把握するようにしてください。
まとめ
以上、マンションで雨漏りが発生する原因、修理方法や費用の負担先について解説してきました。
最後に今回説明した内容のおさらいします。
- マンションで雨漏りが発生する箇所は大抵決まっている
- 雨漏りの修理費の負担先は、発生した場所や発生原因によって異なる
- 雨漏りを修理する際は、原則として専門業者へ依頼が必要
- 雨漏りが発生した場合、速やかに管理会社へ連絡しなければならない
- 原因がわからない場合は、雨漏り以外の可能性を考える必要がある
雨漏りは経年劣化が原因となり起きるケースが多いため、築年数の長いマンションであるほど、発生する確率が高まります。
いざという時になって慌てることがないよう、日頃から雨漏りが起こった際の対策をしっかりと考えておくことが重要です。