「住んでるマンションで雨漏りが起きたんだけど……どうしたらいいの?」
「これって自分で業者を呼んでもいいのかな……」
「直すにしても、期間ってどれぐらいかかるの?」
「雨漏りが起きる前に手を打っておきたい」
言わずもがな、マンションは戸建て住宅よりも大規模な建物です。
大勢の人が住まう以上、必然的に構造も複雑になります。
マンションはおおむね頑健に作られてはいますが、やはり建物である以上、経年劣化は免れません。
戸建て住宅と同じように、雨漏りに悩まされることもあるのです。
本記事では、「マンションの雨漏り」のスポットを当て、戸建て住宅と比較してどのように違うのか、修理する期間はどのくらいか、なぜ雨漏りが起きてしまうのか、についてご説明します。
今現在賃貸マンションに居住されている方も、マンションのオーナー様も、是非参考にしてください。
賃貸マンションと戸建て住宅の雨漏りはどう違う?
ではまず、「賃貸マンション」と「戸建て住宅」における雨漏りの処置、対応についてお話ししましょう。
雨漏りが発生するプロセスは、賃貸マンションであっても戸建て住宅であっても大差はありません。
たとえば屋根や外壁の劣化、自然災害による破損、施工不良、等が主な原因です。
違ってくるのは、「雨漏りが起きた後の対応」です。
自身が所有する住宅の場合、雨漏りが起きたら次のような手を打つことが出来ます。
- DIYで自分で直す
- 専門業者に依頼して修理を行う
どちらの場合であっても、すべて自分の裁量で行うことが出来ます。
当然、費用も自分が負担することになります。
賃貸マンションで雨漏りが発覚した際は、まずはじめに管理人・管理会社・不動産会社のいずれか、もしくはそのすべてに連絡をする必要があります。
間違っても、自分の手で直したり、勝手に業者を呼んだりしてはいけません。
貸主は、借主から賃料をもらう代わりに、諸々の義務を負うことが約束されています。
すなわち、その建物を快適に使えるよう保持することです。
雨漏りが発生した、つまり「快適に住むことができない」状態は貸主の責任であり、よって雨漏りの修繕は貸主の義務ということになります。
これは民法でも定められていることです。
ただし、借主側に明らかな過失が認められる場合は、この限りではありません。
賃貸マンションでの雨漏り!修理にかかる期間はどのくらい?
工事内容や規模により、修理が完了するまでの期間は異なります。
おおむね、雨漏りの修繕だけであれば、1~2週間程度で完了します。
多くの場合、雨漏りの修理だけで終わることはなく、古くなった屋上防水の修理、外壁の塗装、雨樋の取り換え等の工事もまとめて発注してしまうため、マンションの規模により2~6か月程度の工期を要する場合もあります。
いずれにせよ外部足場を組んでいるのであれば、ある程度大規模な修繕を行うと考えておいて問題ありません。
1. 賃貸マンションで雨漏りを見つけたらどうする?
賃貸マンションで雨漏りを発見した時の対処法についてご説明します。
1.雨漏り箇所の写真を撮っておく
デジカメでもスマートフォンでも何でも構わないので、証拠を残す意味合いで写真を撮っておきましょう。
上の項でも少し述べましたが、賃貸マンションにおける雨漏りの修繕は貸主の義務となります。
雨漏りによって家財が汚損・破損した際に、写真を証拠として持つことで貸主と交渉する余地を作ることが出来ます。
2.応急処置を行う
勝手に業者を呼んで修理してもらうのはNGですが、自身の生活を守るためにも応急処置は必須です。
天井から雨漏りをしているのであれば、滴が垂れてくる先にバケツを置いておき、水が溜まったら排出する等、工夫を凝らしましょう。
適切に応急処置を行わないまま家財道具が汚損・破損された場合、借主が修理費を負担しなければならなくなる可能性もあります。
3.大家さん・管理会社に連絡する
写真の撮影と応急処置が完了したら、速やかに大家さんもしくは管理会社、またはそのどちらもに連絡を入れます。
雨漏りの状況を説明し、修理の日程等を相談して取り決めましょう。
この時、「だいたいいつぐらい」と曖昧にしてはいけません。
「〇月〇日の〇〇時から」という風に日時を具体的にしておけば、放置される心配が無くなります。
1. 工事箇所における期間の目安
ここでは共用部ではなく、実際に人が済む「居住部」に焦点を絞ってお話します。
雨漏りが発生するのはおおむね「天井」「壁」、さらに雨漏りの影響を受けるのが「床」になります。
工事期間はそれぞれ、
- 天井:1~3日程度
- 壁 :1~2日程度
- 床 :1日前後
が目安となっています。
勿論、居住部の大きさや部屋の間取り、被害の大小に応じて工期は変動します。
気になる場合は、業者に直接聞いてみると良いでしょう。
定期点検で賃貸マンションの雨漏りを未然に防ぐ!
本項では、賃貸マンションの雨漏りを未然に防ぐための方法についてご説明します。
上でも少し述べましたが、賃貸マンションでの雨漏りは主に貸主の責任と見なされます。
建物というのはどうしても老朽化するものですが、かといって雨漏りが許されるわけではありません。
1. 10年ごとにリスクが高まる
普段はあまり気に留めませんが、建物も人工物である以上、必ず耐用年数があります。
何も無いように見えて、普段から雨風に晒されている建物というのは、見かけ以上にダメージを負っていることがほとんどです。
雨漏りのリスクは、おおむね10年を目途に高まります。
これは塗装や建材の耐用年数と密接に関係しており、たとえば新築から10年経った建物では、塗装がチョーキングを起こしたりコーキングがひび割れるなど軽微な瑕疵が認められます。
さらに10年経過し新築から20年になると、板金部が錆びてボロボロになっていたり、屋上防水がめくれあがったりして、雨漏りに直接関係するような瑕疵が目立つようになります。
新築から30年、何もしないまま放置された建物は、外壁に多数のひび割れが発生し、屋上防水はもはや用を為さず、どこから雨水が侵入してもおかしくない状態になっていることがほとんどです。
2. 軽微な瑕疵も都度補修
上の項でも少し述べましたが、「大した事ないから」と言って瑕疵を放置すると、それが悪化して雨漏りの原因の一つを作ってしまうことになります。
たとえば塗装の劣化は撥水性を損ね、外壁のひび割れを誘発しやすくなります。
コーキングが劣化すればそこから徐々に雨水が侵入し、内部構造をじわじわ浸食し始めます。
たとえ軽微な瑕疵であっても、その都度細かく補修を重ねていけば、雨漏りの原因へと成長してしまう前に食い止めることが可能です。
3. 劣化のサインを見逃さない
雨漏りの被害に遭った人の多くは、「今まで何ともなかったのに……」と考えがちです。
しかし、雨漏りには必ず過程が存在しており、その過程は「サイン」という形で顕在しています。
たとえば外壁に不自然なひび割れがある、共用廊下が妙に湿気っぽい、屋上に溜まった水がなかなか抜けない等、プロでなくとも判別可能なサインはたくさん存在します。
普段から少し気に掛けて劣化のサインを見逃さないようにしておけば、雨漏りを未然に防ぐことが出来ます。
4. 管理規約を確認しよう
雨漏りが発生した際の責任の所在については、管理規約に明示されています。
たとえば借主に明らかな過失がある場合、貸主はその雨漏りについて責任を負わなくても良い場合があります。
雨漏りが起きてから対応を考えると時間のロスが発生し、結果的に修理が遅れてしまうため、一度管理規約を確認してしっかりと理解しておくのが良いでしょう。
まとめ
本記事のまとめになります。
【賃貸マンションと戸建て住宅の雨漏りの違い】
戸建て住宅の場合
- DIYで直しても良い
- 自分で好きな業者を手配して直しても良い
- 費用は全額自腹
賃貸マンションの場合
- DIYで直してはいけない
- 勝手に業者を手配してはいけない
- まずは大家さんや管理会社に連絡をする
- 費用は主に貸主負担
- 重大な過失が認められる場合、借主が費用を支払うこともある
【工事箇所における工期の目安】
- 天井:1~3日程度
- 壁 :1~2日程度
- 床 :1日前後
戸建て住宅とは勝手が違うのが賃貸マンションにおける雨漏りの難しいところです。
とはいえ諸々の対応や責任の所在については管理規約や民法で定められているため、ルールに則って行動すれば間違いありません。