• 「雨漏りってどんな原因で起こるんだろう…」
  • 「原因調査や修理方法についても知っておきたいなぁ…」

雨漏りは住宅におけるトラブルの中で、もっとも深刻なものの一つです。
近年では気候変動の影響により、大型の台風やゲリラ豪雨が増えており、雨漏りの発生リスクが高まっています。

しかし雨漏りはどういった原因で発生するのか、詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
雨漏りの原因や発生箇所は大体決まっていますので、主な発生例を知っておけば対策を立てることが可能です。

また雨漏りを発見した際の応急処置や専門業者による調査・修理方法なども、ある程度把握しておくことをおすすめします。
本記事では、雨漏りが起こる原因や調査・修理方法などについて解説します。

雨漏りが発生する原因とは?


初めに雨漏りが起こりやすい場所と主な原因の解説をします。

雨漏りしやすい場所

住宅において雨漏りが発生する箇所は大体決まっています。
主に外部にさらされている箇所が経年劣化したり、自然災害の影響を受け不具合を起こすことで、雨漏りを招くケースが多いです。
具体的には以下の4箇所が主な雨漏りの発生箇所です。

雨漏りしやすい箇所
  • 屋根
  • 外壁
  • ベランダ

したがって一軒家やマンションに住んでいる方が雨漏り対策を考える場合は、まずこれらの箇所が劣化していないか確認することが重要です。

また屋根や外壁は10年に1度程度の頻度で、塗装替えや防水工事を行うことが推奨されていますので、いつ頃に行うのか、前もって予定しておく必要があります。

雨漏りの主な原因

雨漏りは様々な原因によって発生しますが、主な事例を知っておけば、実際に雨漏りが発生した時でも対処しやすいでしょう。
以下に主な事例を紹介しますので、しっかりと理解しておいてください。

板金の破損

住宅において、もっとも雨漏りを起こしやすい箇所は屋根ですが、屋根には板金という部材が設置されています。
板金には雨水の浸入を防いだり、溜まった雨水を外部へ排出する役割があるため、雨漏りを防止するために重要な部材です。

板金が経年劣化や自然災害の影響などで破損すると、屋根に隙間が生じたり、雨水の排出がスムーズに行えなくなったりして、雨漏りの発生リスクが高まります。

板金にも色々な種類がありますが、もっとも重要なのは屋根の頂点に設置されている「棟板金」です。
単に屋根の板金という場合、棟板金を指すケースが多いです。

屋根の板金は常に雨風や紫外線にさらされていますので、劣化しやすい環境にあります。
また、金属でできているため経年により錆の発生や変形が起こります。
台風などの自然災害により、落下するケースもありますので、特に注意して見る必要があるでしょう。

屋根材の劣化

屋根材には瓦やスレート、ガルバリウム鋼板など、様々な種類があります。
屋根材は経年劣化のほか、地震、台風などの自然災害によりズレや割れ、浮きなどの不具合が生じます。
こうした不具合が起きると、屋根に隙間ができ、雨水の浸入経路となります。

屋根材には耐用年数やメンテナンス周期がありますが、種類によって大きく異なるので、今住んでいる住居の屋根材の特徴について、事前に把握しておくことをおすすめします。

外壁のひび割れ

外壁も屋根と同様、常に雨風や紫外線にさらされているため、劣化しやすい環境にあります。
外壁は劣化が進行すると、ひび割れができてしまい、雨水の浸入経路となります。

ひび割れができる原因として多いのが、外壁塗装の劣化によるものです。
外壁の塗装は単に見栄えを良くするためだけでなく、防水性能を上げる効果があります。

経年劣化や自然災害により、塗装が剥がれたり、ひび割れしたりすると、壁そのものを傷める原因になります。
こうした状況を防ぐためには、定期的な塗装替えを行っていく必要があります。

コーキングの剥がれ

屋根と外壁の取り合い部分、外壁タイルの目地、窓のサッシ部分には、コーキングが施されています。

コーキングは年数が経つと、徐々に剥がれ落ちたり亀裂が入ったりします。
コーキングに隙間ができると、雨漏り発生を招く原因となります。

外壁や屋根のコーキングに関しては、亀裂ができていても見えにくい場合がありますので、定期的な点検を行うことをおすすめします。

雨樋の詰まり

屋根や屋上に設置されている雨樋にゴミや落ち葉が蓄積すると、雨水を排出できなくなってしまいます。
雨水の逃げ場がなくなると、屋根や屋上に雨水が溜まるようになり、雨漏りを招く原因になります。

定期的に雨樋の点検や清掃を行っていれば、こうした状況は防げますが、日頃、怠りがちな場所なので注意しましょう。

屋根に配置した設備周りの劣化

屋根に配置した設備(太陽光パネル、テレビアンテナ、トップライトなど)が、雨漏りの発生原因となる場合があります。

こうした設備は取り付け時、屋根に穴を開けてビス止めするケースが多いですが、設置時の施工不良や経年劣化により、穴から雨水が浸入する可能性があります。

特に近年では、太陽光パネルを設置する家庭が増えていますが、太陽光パネルの不具合、施工不良、防水処理の劣化が雨漏りの原因となります。

屋根に設備を設置する場合は、不具合が発生することを考慮し、定期的なメンテナンスを実施していく必要があります。

雨漏りの応急処置と修理方法


次に雨漏りの応急処置と修理方法について解説します。

まずは応急処置をしよう

雨漏りを発見して専門業者へ修理依頼したとしても、すぐに駆けつけてくれるとは限りません。
忙しい業者の場合、何日か日数を要してしまう可能性もありますので、その間に再度雨漏りが発生すると、被害が拡大してしまいます。
したがって自分なりに応急処置を施すことが重要です。

主な応急処置として、以下の方法があります。

応急処置の方法
  • 濡れた箇所を雑巾や吸水シートで拭き取る
  • 漏水箇所にバケツを設置する
  • バケツの周りにブルーシートを敷く

バケツや雑巾は雨漏りの量によってはたくさん必要になる場合があります。
日常的に使用するもの以外には用意していない家庭も多いと思いますが、いざという時に備えて多めに用意しておくと良いでしょう。

場所ごとの雨漏り修理方法

前項で紹介した通り、雨漏りが発生する主な場所は、屋根、外壁、ベランダ、窓の4箇所です。
これらの場所が雨漏りしやすい理由や修理方法について、具体的に解説していきます。

屋根

屋根は雨や紫外線の影響を直接受けるため、劣化が進行しやすく、もっとも雨漏りが発生しやすい場所です。

経年劣化により板金が破損したり、屋根材にひび割れやズレが生じたり、屋根と外壁の取り合い部分に隙間ができたりすることで、雨水が浸入しやすくなります。
屋根の修理は素人では難しいため、専門業者に依頼して、板金や屋根材の交換などを行う必要があります。

またマンションやアパートなどの集合住宅においては、屋根ではなく屋上が設けられているケースが多いですが、屋上も雨漏りしやすい箇所の一つです。
主に床面の防水層が劣化して雨漏りを招く場合が多く、計画的な防水工事を実施する必要があります。

防水工事には主にFRP防水、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水の4種類がありますが、どの工法を選択するかによって工事期間や耐久性、工事費用が異なりますので、状況に応じて適切な工法を選ぶことが重要です。

外壁

外壁も屋根と同じく、外部の影響を受けるため、劣化しやすく雨漏りを起こしやすい場所の一つです。
外壁から雨漏りする原因として多いのが、塗装の劣化によるものです。

壁は塗装を施すことにより表面に塗膜が形成され、防水効果が得られます。
しかし塗装は年数が経つと剥がれたり、ひび割れが生じたりするため、防水効果が薄れていきます。

多くの場合、再度外壁塗装を施すことにより修理できますが、場所によっては足場を組んだり、仮設ゴンドラを設置する必要があるため、工事期間が長くなるケースが多いです。

また部分的な修理をしても、他の場所から再度雨漏りが発生する可能性もあります。
外壁塗装は一般的に5~10年に1回程度の周期で、全体の塗装替えの実施が推奨されていますので、塗装替えの時期に入っている場合は、全体の再塗装を行うことをおすすめします。

ベランダ

ベランダからの雨漏りは、床面の防水層の劣化や排水口の詰まりによって発生します。
防水層の劣化は簡単に直せず、屋上の場合と同様、防水工事を実施しなければ改善できません。

また排水口にゴミや落ち葉などが蓄積して詰まってしまうと、雨水を排水できなくなり、ベランダに水が溜まってしまいます。
水溜りは雨漏りを引き起こす原因に繋がりますので、排水経路は必ず確保しておく必要があります。

大抵の場合は排水口の清掃により改善できますが、詰まりが深刻な場合は、高圧洗浄などを行う必要が出てきます。

窓も雨漏りが発生しやすい箇所の一つで、特にサッシ部分のコーキングに亀裂が入ることが原因となるケースが多いです。

窓は屋根や外壁と違い、日常的に目にする場所なので、注意深く見ていれば、雨漏りの前兆に気づける場合もあるでしょう。

また台風や大雨などの影響で、窓の上にある配管や換気扇から雨水が伝ってくるケースもあります。
窓からの雨漏りは、ほとんどの場合、サッシのコーキング打ち直しで修理できます。
コーキングの打ち直しのみであれば、数時間で施工可能です。

ただし、窓本体やサッシの全体的な交換が必要な場合や、漏水箇所が複数に及んでいる場合は、1~3日間ほど期間を要します

雨漏りの原因がわからない場合はどうすればいい?


次に雨漏りの原因がわからない場合の対応方法について解説していきます。

本当に雨漏りなのか?

原因がわからない場合は、漏水の原因が本当に雨漏りによるものなのか、再度考え直してみましょう。
住宅やオフィスで漏水が発生する原因は雨漏りの他に、トイレや給湯など給排水設備の不具合、エアコンの配管からの水漏れ、または天井内の結露などが考えられます。

漏水の原因が雨漏りによるものなのかどうか判断する際は、以下のポイントを確認してみてください。

確認すべきポイント
  • 雨が降った後に水が垂れてきたのを確認した
  • 漏水箇所はエアコンなどの設備の付近ではなかった
  • 漏水箇所は屋根の真下だった
  • 漏れてきた水が無臭だった
  • 水道料金に変化はなかった

これらに該当しない場合は、別の原因によって漏水している可能性があります。
屋根や外壁の雨漏り修理と、トイレやエアコンといった設備の漏水修理では、対応する業者が異なりますので、スムーズに修理を進めるためにも、原因の特定は重要なポイントです。

雨漏りの調査方法とは?

雨漏りの調査は目視で確認する他に、以下の2つの方法があります。

散水調査

ホースやバケツで水を撒き、水が漏れてくるかどうかを見て、雨漏りしている箇所を特定する調査方法です。
実際に水を撒くことで雨漏りを再現しますので、目視で調査するより確実性があります。
ただし軽微な雨漏りだと、大量の水を撒かなければ確認できないケースもあり、原因の特定まで時間を要してしまう可能性もあるので注意しましょう。

サーモグラフィー調査

温度の感知が可能なサーモグラフィー(赤外線カメラ)を利用して、雨漏りしている箇所を特定する調査方法です。
もし建物内で雨漏りしている箇所があれば、その箇所だけ周囲より温度が下がっているはずなので、サーモグラフィーで確認できる温度分布の色の違いにより、雨漏り箇所を特定することが可能です。

専門業者へ修理依頼する場合の注意点


雨漏りの修理を専門業者へ依頼する場合、いくつか注意点があります。
雨漏りの修理は非常に難しく、再発する可能性も高いため、業者にお任せするのではなく、依頼する側もある程度の知識をつけておくことをおすすめします。

雨漏り箇所を把握しておく

住宅における雨漏りの場合、実際に入居している人が第一発見者になるケースが大半です。
雨漏りを発見後、専門業者へ連絡したとしても、すぐに駆けつけてくれるとは限りません。

日にちをおいてしまうと、どこから雨漏りが起きていたのか、わからなくなってしまう可能性があります。
雨漏りの原因をつかむのは、雨が降っている日に、実際に雨漏りが発生している状況を確認するのが一番確実なので、その時の状況をよく覚えておくことが重要です。

できれば雨漏りの状況を写真や動画などに納めておくことをおすすめします。

信頼できる業者を見分けるポイント

以下に業者を選ぶ場合のチェックポイントをまとめます。

業者を選ぶ場合のチェックポイント
  • 施工経験は豊富か
  • 事前の調査は入念に行ってくれるか
  • 見積書の項目は詳細に書かれているか
  • 質問に対する返答は正確か
  • スピーディに対応してくれるか
  • 修理後の保証はしてくれるか

特に雨漏りが関係している場合は、口頭で説明しただけでは状況が伝わらないケースが多いため、きちんと現場を見てもらったほうが良いでしょう。

しっかりとした業者であれば、現地に足を運んで入念な調査を行い、原因を突き止めた後に修理に取り掛かります。

調査が雑だったり、いきなり修理に取り掛かったりする業者は、雨漏りに対する知識・経験が不足しているケースがありますので注意しましょう。

雨漏り修理は保険で対応可能?

自然災害により損害が発生した雨漏りの場合、火災保険を利用して修理できるケースがあります。
保険が使える状態でありながら、自己負担で修理してしまっては損ですので、保険内容を事前に理解しておくことをおすすめします。

基本的に以下の原因による雨漏りであれば、火災保険の対象となります。

火災保険の対象となる事例
  • 風災
  • 水災
  • 落雷

なお、地震による被害については火災保険の対象にはならず、地震保険に別途加入しておく必要があります。
経年劣化によって発生した雨漏りも、火災保険の適用対象外です。
あくまで自然災害による損害が原因であることを覚えておきましょう。

雨漏りの主な原因は前もって把握しておこう

ここまで説明してきた通り、雨漏りは大抵決まった箇所から、決まった原因により起こっています。
そのため、自分の住んでいる住宅で雨漏りが発生するのはどういったケースか、住宅の構造と主な発生原因を照らし合わせれば、ある程度予測が付けられます。

予測できた状態で雨漏りに遭遇するケースと、何も想定していない状態で遭遇するケースでは、その後の対処方法に大きな差が生じるでしょう。

ぜひ一度、ご自身の住んでいる住宅において、雨漏りが発生しそうな箇所や原因について、考えてみることをおすすめします。

まとめ

住宅が古くなってくると、雨漏りのリスクも高まります。
いざという時に備えて、日頃から対策を整えておくことが重要です。
最後に今回の記事のおさらいをします。

ポイントまとめ
  • 雨漏りが起こる原因は大体決まっている
  • 修理方法もある程度知っておくとよい
  • 雨漏りの原因がわからない場合は、専門業者による調査が必要
  • 業者に修理や調査を依頼する際は、自分でも知識をつけておく必要がある

雨漏りの修理は専門業者でも困難な場合が多いですが、原因をしっかりと突き止めることが、再発を防ぐポイントになります。

専門業者へ調査依頼する際でも、どこから雨漏りしているのか、ある程度目星がついていれば、スムーズに調査が進められるでしょう。

そのためには実際に雨漏りした時の状況を、しっかりと観察することが重要です。
雨漏りは突然襲ってくるケースもありますので、ぜひ本記事の内容を参考にしていただき、実際に雨漏りに遭遇した時でも慌てず焦らず対処できるようにしましょう。