雨漏りの影響
  • 「それほど目立たないからと雨漏りをしばらく放置しているけど、もしかして危ない?」
  • 「人体にも影響があるとすれば、雨漏りがどのような悪影響を及ぼすのか教えてほしい」

    何も、すべての雨漏りが目立つ箇所で発生するわけではありません。

    生活には差支えの無い箇所から、時々ぽたぽた滴が落ちてくる程度のものから、ひっきりなしに水が落ちてくるものまで様々です。
    雨漏りの修理はどうしても費用と時間が必要になるので、腰が重くなるのも無理はありません。

    しかし、「たかがちょっとの雨漏り」と甘く見ていると、後々思わぬトラブルに発展する可能性があります。

    本記事では、雨漏りを放置することによって起こり得る影響と危険性を、建物と人体それぞれの見地からご説明します。

    雨漏りを放置すると危険!考えられる悪影響

    それでは早速、雨漏りがどのような悪影響を及ぼすのか見ていきましょう。

    建物に対するダメージはもちろんのこと、人体に対する悪影響も侮れません。

    1. 2次・3次の被害を産む

    建物というのは通常、雨水が室内に侵入することは想定されていません。
    雨漏りと言うのは建物の機能から逸脱するイレギュラーな状態であり、このような状態が継続されると様々な二次被害を引き起こします。

    雨漏りによる主な二次被害
    • 天井や壁にシミが発生し、意匠性を損なう
    • 家具・家電製品を汚損または故障させる
    • カビが発生する
    • 内部の電気基盤が雨水に濡れることで漏電し、最悪の場合火災になる

    代表的なものだけでも、これだけの数が挙げられます。

    「いやいや、雨漏りしているのは目立たないところだけだし、今のところ何の問題も起きてないよ」と考え、修理の必要性についてピント来ない方もいるかもしれません。
    実際的な被害はなくとも、雨漏りは何より建物の「躯体」を蝕みます。

    そもそも、本来であれば入ってはいけない箇所に雨水が侵入している時点で十分赤信号であると言えるのです。
    雨漏りが顕在化した時点で、見えない部分ではかなり老朽化が進んでいると考えて良いでしょう。

    2. 建物への悪影響

    雨漏りがもたらす被害を、建物への悪影響という見地から見ていきましょう。

    雨漏りによる建物への悪影響
    1. 木材・鉄材が腐食する
      浸水した水は建物の中に留まり、湿気を生みます。
      湿気は木材を腐らせる「木材腐朽菌」と呼ばれる菌を発生させますが、これはリグニンやセルロースといった木材の成分を片っ端から分解し、木材の強度を下げる性質を持っています。
      木材を使用しない鉄筋コンクリート造の建物であれば、サビが発生することで同じく強度の低下を引き起こします。
      強度が低下してしまえば、天井が抜けたり家が傾いたりしてしまい、資産価値を著しく損なうことに繋がります。
    2. シロアリやダニが発生する
      シロアリは湿気を含んだ木材を好みます。
      柱や梁を食べられることにより、各部材の強度が著しく低下します。
      また、ダニは刺されると痒く、様々な病原菌を運ぶ媒介の役割も担っており、危険です。

      いずれの場合も、建物の根幹に関わる重要な部分に悪影響をもたらすことが分かります。
      長期間にわたって放置すれば、大規模改修も免れません。

      3. 人体への悪影響

      次は、雨漏りがもたらす被害を人体への悪影響という見地から検証します。

      雨漏りによる人体への悪影響
      1. 悪臭によるストレス
        木材が湿って腐食するときの独特な匂いは、悪臭としてストレスの原因になります。
        ストレスは疾患における諸悪の根源とも言われており、「たかが悪臭」と侮ってはいけません。
        くつろげるはずの自宅が一転、ストレスの原因となるのは想像以上の心労です。
      2. カビの発生
        雨漏りが引き起こすカビには、人体に悪影響を及ぼすものが含まれています。
        人によってはアレルギー反応を起こし、気管支炎や結膜炎を引き起こす原因にもなり得ます。
        特に子供の居る家庭では注意が必要です。

      「ちょっとぐらいなら大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、「ちょっとの被害」が長期間続けば、人体に大きな影響を及ぼすことも考えられます。

      高齢者や子供など、免疫機能の弱い人であれば、誇張ではなく生死に関わることもあります。

      甘く見てはいけない「カビ」の危険性

      前項では「カビ」について少し触れましたが、本項ではさらに掘り下げてその危険性についてお話します。

      単に「カビ」といってもたくさんの種類があり、それぞれが人体にもたらす影響も違います。

      1. よく見る「黒カビ」

      「黒カビ」はカビの代表格的な存在で、普段最も目にする機会の多いカビです。

      空気中に浮遊していることも多く、場所を選ばず発生するのが特徴です。
      また、黒カビは「素材の奥深くに根を張る」特性を持っており、一度除去しても根を死滅させない限りずっと繁殖を続けます。

      人体への悪影響はさほど大きくありませんが、たとえばエアコンに黒カビが発生し、気付かないまま運転させると黒カビを含む空気を直接吸い込むことになります。
      多少であれば被害は少ないものの、日常的に黒カビを吸い込むとシックハウス症候群の原因となる可能性もあります。

      ポイント
      • 「黒カビ」は根を張る
      • 大量に吸い込むと健康被害に繋がる

      2. 強力な毒性を持つ「ススカビ」

      「ススカビ」は学名を「アルテルナリア」と言い、黒カビとよく似た見た目をしていますが別物です。

      他のカビ同様、多湿を好み、黒カビと同様にどこにでも繁殖します。
      ススカビは胞子が大きいため、吸い込むと鼻腔内に留まってしまい、これがアレルギー性鼻炎の原因となります。

      そのほか、気管支喘息、アレルギー性皮膚炎、皮膚真菌症、角膜炎、副鼻腔炎など様々な病気を引き起こす可能性を秘めています。
      プラスチックを腐食させるほどの強い毒性を持っているため、カビの中でも特に注意する必要があります。

      ポイント
      • 黒カビによく似た見た目をしている
      • 様々な感染症・アレルギーの原因になる
      • プラスチックを腐食させるほどの強い毒性を持つ

      3. 時折見かける「赤カビ」

      「赤カビ」は高温多湿を好み、主に水回りに繁殖します。

      見た目は赤というよりピンク色をしており、触るとぬめりがあるのが特徴です。
      人体に対する悪影響はありませんが、赤カビをエサとする黒カビの発生を助長してしまうのが厄介な点です。

      前述の通り、黒カビに少なからず毒性があるうえ、頑固に根を張るため掃除が大変になります。

      ポイント
      • 水回りに多く発生
      • 黒カビを呼ぶ

      4. 感染症やアレルギーの危険性

      カビによる健康被害については上述の通りですが、最後に感染症やアレルギーについてお話します。

      カビが日常的に存在する環境で生活することは、想像以上に危険です。
      中には生体に対して繁殖を行うカビもおり、人間の臓器に入り込んでそこで繁殖を行うこともあります。

      カビが引き起こす感染症の例
      1. 過敏性肺炎
        発熱、せき、喀痰、息切れなどを引き起こします。
      2. 慢性肺アスペルギルス症
        喀痰や喀血に代表される呼吸器症状や発熱、倦怠感を引き起こします。
      3. 肺クリプトコックス症
        重症化すると髄膜炎を合併する可能性もあります。

      まとめ

      本記事のまとめになります。

      雨漏りを放置することで起こる建物への影響
      • 2次被害、3次被害を引き起こす
      • 部材を腐食させ、資産価値を著しく低下させる
      • シロアリやダニなどの害虫を発生させる
      雨漏りがもたらす人体への被害
      • 悪臭によるストレス
      • カビによる感染症・アレルギーの発症

      雨漏りを放置しても良いことは何一つありません。

      見つけた時点で対策を行い、事態が深刻化しないように努めましょう。